日が経つにつれ中国四川省で発生した大地震の被害は予想以上に深刻で甚大なものであることが次第に明らかになってきた。
AFPが配信した写真に写しこまれた被災者の顔は皆一様に疲れ果て、目に力がない。この目はどこかで見たことがあると記憶を辿ると、当地が昭和20年7月28日の深夜にB29の空襲を受けて、死傷者1767名・焼失家屋18045戸(市街地の88%)・罹災者70166名の被害を受けた時の被災者の目と同じだ。あまりにも悲惨な状況になると、国も民族も時代も超えて同じ表情になるのかもしれない。
このニュースのトップの写真には、背景に5階建てのアパートらしき建物が写り、そのアパートの前に信じられない大きさの岩が3個並び、そのうちの1個が緑色のタクシーを押しつぶしている。まるで宇宙から巨大な隕石が落下したような有様で、どうすれば市街地にこういう巨大な岩石が転がり込んでくるのか理解に苦しむ。でもこれは今回の地震の凄さの一端であり、他の写真を見ると建物の崩壊の仕方が半端でない。まるで重爆撃機で爆撃されたような有様を呈している。これは震災の跡というより戦争の跡に似ている。今更建物耐震強度がどうのこうのと口にするのも憚られるような悲惨な壊れ方をしている。
今回の震災にはまるで人知をあざ笑うかのような迫力がある。自然の圧倒的な力の前に人間は立ち向かえないのかもしれない。
しかし、色々なニュースを検索すると少しは慰められる報告もある。
福島香織氏の北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)にこんなことが書いてあった。
【死者が5万人にのぼるとみられる空前の大災害となってしまいました。今朝は夕刊処理後、献血しようと(針こわいけれど)、王府井にいったのですが、午前9時半にはすでに、予約受付がおわっていました。朝5時から並んでいた人もいるそうです。通州という郊外から、バスで来た女性もいました。大学を卒業したばかりで仕事がみつからず、無職なのに100元もネット銀行を通じて募金したそうです。福島が上海留学していた98年当時は、やっと売血が禁止になったものの、まだ無償献血なんてとんでもない、という時代だったので、こんなふうに我先にと中国の普通のひとが献血に走る日がくるとは、感慨深いです。しかも、電車の乗り降りすらきちんと並べない人がまだ多いのに、献血ではきれいに並んでいるんですよ。募金熱にしろ、献血熱にしろ、今までの中国人のイメージはやはり変わらざるを得ないという感じです。■大災害は人々の価値観や人生観を根底から覆すきっかけになります。ひょっとしたら、中国はいま価値観の大転換、大革命を迎えようとしているのかもしれません・・・】
確かにこの大震災が中国の価値観の大転換、大革命を迎えるきっかけになるのかもしれない。もしそうだとすれば多少は救いがあるのかもしれない。頭の中では同意することができる。
それにしても、とボケ頭は愚考するのだ。
それにしても、AFPの克明な写真を見るとあまりに被害が大きすぎて言葉を失ってしまうのだった。
【中国・四川大地震、犠牲者2万2000人超える 中国国営の新華社(Xinhua)通信は16日、12日に発生した四川(Sichuan)省を震源地とする地震により2万2069人の死亡が確認されたと伝えた。これに先立ち四川省の副知事は16日、全国に放送された記者会見で2万1500人以上の死亡が確認され、1万4000人が現在もがれきの下に生き埋めになっており、負傷者は約15万9000人に上ったことを明らかにしていた。中国政府は15日、今回の地震による最終的な死者数は5万人を超えるとの予測を発表しており、今回の地震が中国にとってここ数十年で最悪の自然災害となることは間違いない情勢だ。また現地のある高官は四川省では4800万人以上が家を失ったと語った。(c)AFP】

