18日の日曜日に都心の一角に木製のトラックが出現し、スプリントグランプリ「トリックスター」が行なわれた。といっても何のことか分からないと思ふ。スプリントは単純に言えば二人の選手が一緒に走ってどちらがゴールに先に入るのかを競う競技で、見た目にどちらが勝ったか分かりやすく、なお且つスリリングな競技である。
スプリントの世界選手権を1976年から86年まで10連覇したのは中野浩一選手で、この大記録は日本では忘れ去られているがヨーロッパでは中野浩一は最も有名な日本人として知られている偉人である。
中野浩一は92年に最後まで優勝できなかった唯一の特別競輪・高松宮杯競輪の決勝戦二着を最後に引退した。優勝したのは滝澤正光、三着は井上茂徳で、三人が並んでゴール線に入った時のファンの大歓声を最後に中野は引退し、それと共に競輪も坂を転げ落ちるように衰退したのは周知のとおりである。今でもあのレースを名レースとして一番に挙げる人は多い。競輪の奥深さ面白さを満喫できる素晴らしいレースであった。そして驚くことに滝澤正光48歳は未だに現役の競輪選手で、おそらく滝澤が引退する時は年老いた競輪ファンが大挙してお別れに集結するだろう。滝澤が引退すると競輪事業そのものが終焉を迎えるのかもしれない。今のままならそうなる可能性は高い。
まあ、そんなたわごとは置いといてトリックスターで優勝・準優勝した選手を紹介する。両者とも今は一流選手だが、競輪学校時代は目立った成績を残していない。選手としてデビューしてから余程精進したと思われる。
優勝した長塚智広(ナガツカ トモヒロ)選手はご存知の方も多いだろうが、アテネ五輪の銀メダリストで29歳、現役の競輪選手で「身長182.0cm・体重78.0kg・胸囲100.0cm・ウエスト79.0cm・背筋力220.0kg・靴のサイズ30.0cm・競輪学校順位61位・出走数573・優勝26回・勝率30.8%・獲得賞金190,100,600円」である。昨年の出走数は96回であった。おそらくあまり休養するヒマがなかったと思はれる。
トリックスターの後のインタビューでは【ヨーロッパでは、自転車競技はメジャースポーツで、よくこのようなイベントが行われていると聞いている。こういう機会を通じて、自転車をもっと、特に若い人に見てもらいたい。人間がどこまで早いスピードを出せるか、というスポーツとしての魅力を感じて欲しい。】と述べている。
準優勝した永井清史(ナガイ キヨフミ)選手は同じく現役の競輪選手で北京五輪の日本代表であり、18日が25歳の誕生日で「身長174.0cm・体重83.0kg・胸囲100.0cm・ウエスト-・背筋力230.0kg・靴のサイズ27.0cm・競輪学校順位19位・出走数313・優勝20回・勝率34.5%・獲得賞金109,353,414円」である。
トリックスターの後のインタビューでは【自転車競技を間近で見たことがある人は少ないと思うので、そのような人たちの前で自転車競技のスピード感や魅力を伝えることができたので、非常に良かったと思う。】と述べている。
第一回「自転車スプリントGP『トリックスター』in 丸の内」の結果について
そしてトップアスリートのスピードを間近に見た人があまりの迫力に驚き、「今度は競輪場に足を運んで、競輪を観戦してみたい」という感想を述べている。
こういう企画を年に一度でも実行できれば、競輪も変わるのかもしれない。競輪選手は実はトップアスリートである、ということを実感して貰えるのは選手にとってもファンにとってもいいことだと思ふ。他の競技と同様、別に金銭を賭けなくとも自転車競技を楽しむことは出来るのだ。とにかく普通の人に競技の迫力を見てもらえなければお話にならない。話はそれからだろう。
来年も再来年もこの企画が実行されることを望む。
丸の内を競輪選手が駆け抜けた!!北京五輪PR「トリックスター」
【路上で競輪選手が“プロのスピード”を披露―。北京五輪自転車競技PRイベント、第1回自転車スプリントGP「トリックスター」が18日、東京・丸の内で行われた。
オフィス街に設置された直線の木製走路で、アテネ五輪銀メダリストの長塚智広(29)=茨城=をはじめ、アマ一人を含む8選手がスプリント対決。沿道に集まった約6000人の観客は、ゴールを全力疾走する迫力満点のシーンに魅せられていた。
首都のオフィス街・丸の内仲通りに、1日限定の自転車走路が出現した。直線300メートル、幅3・5メートルの木製トラック。通行人の目の前で1対1の150メートルスプリント対決だ。歩道ぎりぎりに詰めかけた観客は、間近で見るトッププロのスピードに驚きの声をあげた。
予選、セミファイナルを勝ち抜き、決勝は長塚と永井清史(25)=岐阜=の北京五輪日本代表選手同士のマッチ。接戦を制して初代“チャンピオン” に輝いた長塚は「五輪まで残り3か月。食事制限などでストレスのたまる時期だったが、解消するいい機会になった。自転車をもっと、若い人に見てもらいたい」と、五輪に向けての抱負を笑顔で語った。
通りがけに初めて自転車のスピードを“体感”した板橋区の会社員・木下裕介(30)さんは、「ビュンと風を切る音が鳴って、こんなにスピードが出ているとは思わなかった。もっとこのようなイベントを増やしてほしい。今度は競輪場に足を運んで、競輪を観戦してみたい」と、生で見るトップレーサーの速さに魅入られた様子だった。】

