ウインブルドンが開幕した。今日の主役はフェデラーでもイワノビッチでもジョコビッチでもなく錦織圭である。
ジケルのサービスで試合は始った。大会初日6番コートの第3試合なのだが、すでに芝はサーバーに蹴散らされて茶色の土が見えている。世界トップレベルの選手たちが芝を必死に蹴散らした跡だ。たった2試合が展開されただけでこの有様だ。ある意味迫力がある。凄いなあ。
第1セットは7ゲームまで進んでもたったの22分しか経っていない。試合の進行が極めて速い。ウインブルドンのラリーは2秒と少し、全仏のラリーは8秒程度かかっているという解説が入る。確かに球足が速すぎてラリーになれない展開が続いている。しかし結局第1セットは錦織が1ブレークの6−4でセットを取った。試合中も不敵な落ち着きがあり、予想より遥かに大人のテニスをしている。タッチの良さは恐らく天性のものだろうが。特に第1セットのセットポイントで見せたフォアのクロスは見事で、ひょっとすればこの試合はこのまま錦織が押し切るのではないかと思われた。
唐突に錦織が第1セット終了後に3分間のメディカルタイムを取ったとき厭な予感がした。確か前哨戦でも腹筋を痛めてリタイアしている。トレーナーが入ってきたとき左足のシューズを脱いだので足の裏のテーピングの治療かと思ったら、やにわに腹部に湿布を貼り始めた。錦織は身体の軸の回転でボールを打つので、相手に打ち勝つ能力があるのです、という解説が入るが何の慰めにもならない。腹筋はすべてのアスリートにとって最も重要な筋肉で、しかも一度痛めるとなかなか完治するのは難しい。
この景色は何かを連想させる。
95年に松岡がウインブルドンで快進撃を続けたあと、全米オープン1回戦で起きた悲惨な出来事だ。あのとき松岡は強度の痙攣を起こしてコートでのたうち回り、その凄惨な模様はリアルタイムで全世界に中継された。あのあとテニスのルールが変わり、「シュウゾウ・マツオカルール」が出来たのだった。松岡にとっても日本のテニスファンにとっても悪夢のような出来事であった。錦織が腹筋の治療を受ける姿を見てそんなことを思った。
どうして日本の選手はこんなに身体が弱いのだろう。これではどんなに素晴らしい技術を持っていても2週間で決勝までの7試合の5セットマッチを戦い切ることはできない。錦織圭は近い将来ウインブルドンの決勝まで進むことが可能な器だ。あまりにも勿体ない。そんなことを考えているうちに第2セットが始まった。
第2セットに入り試合は淡々と進んだ。進行状況のメモを貼り付けておく。それにしてもリタイアは残念。深いため息しか出てこない。
第2セット
第4ゲーム 錦織サーブ
少し集中が切れたようにも見えたが、がっちりキープ 2−2
このあたりから錦織の腹筋が痛み始めていたように感じる。動きにシャープさがなくなっている。
第5ゲーム ジケルサーブ
ポイントが取れない 久しぶりにポイント ダブルフォールト15−15
30−15 一本くさいボールがあった
30−30 フォアの逆クロス 相手動けず
40−30 エラー
ゲーム 相手のクロス決まる 錦織の2−3
第6ゲーム 錦織サーブ
15−0 フォアエラー
30−0 ストロークでオス
40−0 サービスエース 5本目
ゲーム フォアで決める 3−3
第7ゲーム ジケルサーブ
15−0 エラー
30−0 セカンドを叩くがネット
40−0 ボレー決まる
ゲーム ジケルのサーブ決まる 錦織の3−4
第8ゲーム 錦織サーブ
15−0 相手フォアのエラー
15−15 ダブルフォールト
30−15 リターンを相手の逆をつく
40−15 相手エラー
ゲーム 錦織がハーフボレーを面だけで鮮やかに決める 4−4
第9ゲーム ジケルサーブ
0−15 ジケルエラー
15−15 サーブ決まる
15−30 錦織のフォアにくいこまれる ジケルエラー
30−30 滑る 心配だ
40−30 バックエラー 少し固くなっているのか?
ゲーム ジケルのサービスセンターに決まる ジケルの5−4
第10ゲーム 錦織サーブ
15−0 フォア厳しい
30−0 エラー
40−0 ネットを制する
ゲーム ジケルエラー ジケルが押されている 5−5
最も難しい場面でも安定したキープ。才能の豊かさを感じる。
第11ゲーム ジケルサーブ
15−0 サービス決まる
15−15 スライスで切り返し 巧い
30−15 ネットで決められる
40−15 サービス決まる
ゲーム 錦織のスライスのアプローチがロング
ジケルの6−5
第12ゲーム 錦織サーブ
小康状態というよりは二人が充実してきたと云うべき解説が入る。同意。
15−0 エラー
15−15 一方的に攻められる
15−30 フォアエラー
30−30 コースは良くないが相手エラー
30−40 致命的なダブルフォールト
ゲーム フォアエラー ジケルの7−5
お互いに1ブレークで試合が進行する。緊張感が高まる。ジケルの集中度は明らかに高まっている。
第3セット
第1ゲーム ジケルサービス
15−0 サーブ決まる 錦織の動きが変だ。
30−0 サーブ決まる
40−0 攻めようとするがエラー
ここでチェアマンにリタイアを宣言。 錦織棄権敗退 残念!
有り余る才能を感じるテニスであった。身体を治して、捲土重来を期したい。
当地の外は雨。錦織の涙かもしれない・・・
2008年06月24日
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