2008年03月12日

#1701 村上ソングズ

 村上ソングズの巻頭歌はビーチボーイズのGod Only Knowsである。村上春樹氏が歌詞を翻訳して歌の解説をしながらどっぷりと時代の郷愁に浸り、和田誠氏がイラストを描いている。巻頭歌のGod Only Knowsでは左側に水色のジャケットに黄色のズボンを履いた男の人形がやや反り返り気味に立ち、その右側に薄茶色のスカートを履いた女の人形が両手を出して立っている。二体の人形は台に埋め込まれたぜんまい仕掛けにより左右前後に動く仕組みで、ご丁寧に女の人形には黒い操(あやつり)棒が埋め込まれている。人形の背景は紺碧の星空に満天の星が散らばめられ、全体に暗めで月はないが人形の周囲は充分に明るい。2体の人形が載っている台座は空中にぽっかりと浮いている。

 全くもってこのイラストはこの歌にふさわしい。ひょっとすればこのイラストがこの歌の全てかもしれない。

 村上春樹氏が勧めるようにこの本はレコードを聴きながら読むべきだろう。だから実際そうしているのだが、今は早朝というより世間では真夜中と呼ぶ時間なのであまり大きな音が出せないのが難点だ。確かにこの歌の題名のGod Only Knows神様しか知らないはそのまんま東でI may not always love youいかなるときにも君を愛するとは言い切れないかもね、などと少し気取った言い回しは山下達郎が訳したんじゃないかと思えるほどで妙に固くそれゆえにリアリティに溢れている。そしてBut long as there are stars above you You never need to doubt itでも見上げる空に星がある限り僕の想いを疑う必要はないんだよという台詞はとても意味深で、Ill make you so sure about it God only knows what Id be without you 時がくれば君にもそれがわかるだろう 君のいない僕の人生がどんなものかそれは神様しか知らない、と結ばれている。確かに家内がいなかったら僕の人生はどうなっていたかわかりゃしないなあ、とシミジミ思ふのだったが、このあとに、If you should ever leave me Though life would still go on believe meもし君がどこかに去っても人生はつづくかもね、などとしっかりと釘を刺しているのが妙に実感がこもっていてイイ。この歌は男が女よりほんの少し元気だった時代を髣髴とさせる。

 この歌が収録されている Pet Sounds (Capitol 2458)は1966年で、そういえばベトナム戦争で反戦運動でビートルズで色々と賑やかで、アメリカは圧倒的に豊か過ぎる巨大帝国だった。でも自分にとってビーチボーイズの歌といえばgood vibrations California Dreaming Wouldn't it be nice Surfin' USA Don't Worry Baby あたりで、このGod Only Knowsはあまり好きな歌じゃないのだった。まあこれは好き好きなので仕方がないのだが、こんな歌やあんな歌が散りばめられ、和田誠氏のスンバラシイイラストを楽しめる村上ソングズはとても素敵な本である。

♪God Only Knows♪

I may not always love you
But long as there are stars above you
You never need to doubt it
Ill make you so sure about it
God only knows what Id be without you

If you should ever leave me
Though life would still go on believe me
The world could show nothing to me
So what good would living do me

God only knows what Id be without you

posted by あど at 04:27| 青森 ????| Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うらぶれたなじみの酒場で、あどさんの「California Dreaming 」なぞを聴いたら、老い先短いオイドンはちょっと泣けてきそう。
もちろん、「たどり着いたらいつも土砂降り」でもいいし、甲斐バンドの「Hero」でもいいんだけど。

村上春樹と和田誠コンビはジャズの本をたくさん出しているみたい。
Posted by 亜Q at 2008年03月13日 22:02
 おはようございます。
 村上春樹流の選曲に多少異論はありますが、和田誠のコンビで仕事をしているので文句はいえません。視覚にダイレクトに訴える絵の力は凄いと思いマッスル。碁のねじり合いを和田誠画伯に描いてもらいたいものです。
Posted by あど at 2008年03月14日 04:11
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