「時」には14曲の楽曲が収録されている。「全ての輝く朝に」から始まり「この素晴らしき世界」までの全14曲である。9曲目にはバッヘルベルのカノンが収録されている。バッヘルベルのカノンについては以前「C−G−Am−Em−F−C−F−G」という記事で書いたので印象深い。全ての唄は日本語で表現されており、訳詩はご本人であったり岩谷時子さんであったり青井陽司さんであったりする。全曲美しい日本語あるいはスキャットである。
「時」のジャケットを拝見すると純白のドレスを着た本田美奈子さんが野原に置かれたカウチに座っている。背景は黄色い光で覆われ、彼女の周囲には鹿、リス、猪、兎が楽しそうに寄り添っている。しかし彼女の目は遥か遠くを凝視し表情が硬い。そんな彼女に構ってもらいたくて小動物たちがおねだりしているようにも見える。今見ると全般に黄色い光で覆われているのは黄昏を暗示しているかのようだ。この配色は彼女の希望だったのだろうか。
部屋の電気を消してサンサーンスの白鳥を聞く。39秒間彼女の唄が響き渡る。一瞬森山良子かと耳を疑ったが本田美奈子さんである。一体いつこんな歌唱に変身したのだろう。長い時間をかけ精進したことだろう。おいらはアイドル歌手本田美奈子しか知らないのである。はなから聴く耳を持っていなかった。
アルバムのキャッチコピーは次のとおりである。
2003年5月、ソプラノ・ヴォイスによるアルバム「AVE MARIA」によって、ニュークラシックの世界を拓いた本田美奈子待望のクラシックアルバム第2弾です。「AVE MARIA」発売後、各地でクラシックコンサートを展開。そのソプラノ・ヴォイスに更に磨きをかけ、満を持してのリリースになります。楽曲は、クラッシックからオペラ・アリアの名曲、インストゥルメンタルに新しく詞をつけたもの、そして映画音楽まで、美しいメロディーの曲を厳選しました。楽曲の美しさと日本語の美しさとが溶けあった世界はさらに深く心に響きます。編曲は「AVE MARIA」に続いて井上艦。日本のトップミュージシャンを起用したサウンドも魅力です。このアルバムのために書き下ろした新曲「時 -forever for ever-」(作詞:岩谷時子 作曲:井上鑑)は、時を越えて語り継がれる名曲。本作の聴き所のひとつにもなっています。
このキャッチコピーは本音が出ている。いい仕事を成し遂げた人々だけが持つことの出来る喜びが伝わってくる。いいスタッフに囲まれ渾身の力を込めて唄った本田美奈子さんも苦しかっただろうが楽しかっただろう。久しぶりに音楽アルバムを購入して静かに聴いてみようと思う。そして彼女のこれからの飛躍が楽しみである。
しかし本年11月6日に38歳の若さで他界されたという。島谷さんから教えて頂いた。
唖然とした。全く信じられないことである。どうしてこんな理不尽なことが起きるのであろうか。しかしどんなに嘆いても彼女は戻ってこない。ただただご冥福を祈るばかりである。
【音楽の最新記事】


素晴らしい追悼文ありがとうございました。
モーツアルトなど夭逝する人は神様が凝縮した人生を与えたのかもしれませんね。
本田美奈子.さんはすごい努力家だったんですね。彼女の生き方に感動!
TBありがとうございます。
本田美奈子さんに、こんなに共鳴している人達がいたんですね。
あらためて彼女は優秀な歌手であったことを、痛感させられました。
彼女の歌声よ、永遠に。
TBありがとうございました。
彼女の歌声の透明感は本当に癒されます。
公式HPも拝見したのですが、
本当に努力家で、自分だけではなくて他の同じ病気で苦しんでいる人のためにも活動されてたと知り、自分に与えられた命は大切にしようとつくづく思いました。
彼女の歌を聴くことで冥福を祈ります。