エナンが引退を表明した。シングルハンドのバックで打たれたボールが弾丸のような軌跡で飛んでゆくのをもう二度と見ることができないのかと思ふと少し寂しい。あれはまさしく世界一切れ味が良くしかも美しいショットであった。だが、サーキットを年がら年中転戦する生活にも疲れを感じ、きっとWTAのランキング1位を維持するのがシンドクなってきたのだろうから仕方がない。ランキング1位を二年も維持したのはさぞや大変だったろう。彼女も気がつけば26歳になる直前で、肉体的精神的に衰えを感じても少しもおかしくない年齢である。まあ今までよく頑張ったということで、大変お疲れ様でしたという以外に言葉の掛けようがない。
考えてみれば、エナンは外見は地味だがグランドスラムで7勝している大選手である。制覇したのは2004年の全豪、2003年、2005年、2006年、2007年の全仏、2003年、2007年の全米である。決勝戦の相手は同郷のキム・クライシュテルスが3回、ロシアのスベトラーナ・クズネツォワが2回、フランスのマリー・ピエルスとセルビアのアナ・イワノビッチが各1回でいずれも少し地味な決勝戦に見えたが、決勝に進出するまでにエナンはシャラポアとかセレナとかビーナスとかダベンポートとか幾多の大型の強豪選手をしっかり倒してきているので、その実力と共に大いに人気はあった。
特に2003年から2004年にかけては同郷のキム・クライシュテルスと全仏・全米・全豪の決勝戦で戦い、実に安定した勝ち方を披露し、クライシュテルスの引退を早めたのはエナンではなかろうかと思わせるほどであった。相性というものはあるもので、クライシュテルス程のハードヒッターでもエナンの前では借りてきた子猫のようで、何度戦ってもエナンが勝つだろうと思われる展開を繰り返していた。あれは可笑しかった。
そしてエナンのHPに行くと「Justine's Decade」と題して「May 1999 - A 16 yr old Justine & A First WTA title」、「2000 - Justine meets the Number 1 Player」、「2001 - The explosion heard at Wimbledon.」、「2002 - Justine new Tennis world #5」、「2003 - Number 1 with A bullet」、「2004 - Gold Medal」、「
2005 - The Queen of Clay」、「2006 - The Finalist」、「2007 - A Break and Different Symmetry」、「2008- A New Novel」と短くまとめられた記事を読むと、本当にこの記事を書いた人はテニスが好きでエナンを愛情深く見つめているんだなあ、と思ふ。添えられている写真も素晴らしい。こういう記事を読むと日本と欧米の文化の根本的な違いを感じる。
Justine-Henin official site
そして奇しくもエナンの引退する25歳という年齢は伊達が引退した年齢と同じで、これから12年後の2020年にエナンがITF5万ドルの大会に出たら世界的なセンセーションになるだろうなあ、と思った次第である。
エナンが現役引退を表明 女子テニスの世界1位
【【ブリュッセル14日共同】女子テニスの世界ランキング1位、ジュスティーヌ・エナン(25)=ベルギー=は14日、ベルギーのリムレットで記者会見し「きょうはテニスのキャリアの終わりを告げるためにやってきた。今回の決断に少しの後悔もない」と話し、現役引退を表明した。
WTA(女子テニス協会)によると、世界1位のままで現役を退く選手は初めてという。エナンは引退を決意した明確な理由を明らかにはしていないが、「熟慮の末の判断で、引退については昨年末ごろから考えていた」としている。25日からの全仏オープンなど当面の大会には出場しない見通し。
エナンは全仏オープンで2005年から昨年まで3連覇するなど、4大大会のシングルスに通算7度優勝。細身の体ながら巧みな片手打ちバックハンドを持ち味とし、力のテニスに対抗した。しかし前週のドイツ・オープンは3回戦で敗退し、今週のイタリア・オープンは疲労を理由に出場を回避した。(2008年5月15日0時29分)】
クルム伊達、国内14位の久松を撃破◇久留米市国際女子
【ITF女子サーキットの久留米市ベストアメニティカップ国際女子(賞金総額5万ドル)は14日、シングルス1回戦を行い、復帰3戦目に臨んでいるクルム伊達公子(日本)が、日本ランキング14位で第8シードの久松志保(日本)に6-1, 6-0で完勝し、2回戦進出を決めた。
クルム伊達の次の対戦相手は、前川綾香(日本)に6-4, 6-4で勝利した世界ランク298位のシュー・イーミャオ(中国)となった。高岸知代(日本)と組んでいるダブルスの初戦は明日で、道慶知子(日本)/倉田祐子(日本)組と対戦する・・・(2008年5月14日18時27分)】
2008年05月15日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/96760274
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/96760274
この記事へのトラックバック

